「日本画」の真髄に迫る
明治政府のお雇い外国人として来日していたアーネスト・フェノロサ(1853-1908)は、当時、日本国内で目にした絵画を総じて “Japanese Painting”と呼び、この英語を日本人通訳が「日本画」と翻訳したことから、明治以後に「日本画」という概念が社会的に定着していったと言われています。
「日本画」は日本の伝統的な絵画と西洋画の接触により、新しい表現形式として確立されましたが、日本という近代国家の形成期における文化的混沌の中で画家たちは、近代とは、西洋とは、国家とは何かという不断の問いと向き合うことを余儀なくされました。
第二次世界大戦後は、画壇において日本画滅亡論が唱えられましたが、近代日本画を超克し「新しい日本絵画の創造」を目指した現代日本画の担い手たちの活躍によって、「日本画」は新たな段階へと進みました。
グローバリズムが加速し、西洋と東洋という二分化がもはや意味をなさず、主題や形式、画材などが多様化する21世紀のアートシーンにおいて、現在の「日本画」にはいかなる可能性が秘められているのでしょうか。近代の「日本画」を牽引した明治、大正、昭和前期の画家たちや、杉山寧をはじめとする戦後の日本画家たちの表現方法、そして現在の「日本画」とこれからの日本の絵画を追究する多様な作家たちの実践の数々にあらためて注目し、その真髄に迫る展覧会図録兼書籍。
展示作家
浅井忠、今井俊満、入江波光、岡倉秋水、岡田三郎助、小野竹喬、狩野芳崖、加山又造、川端玉章、川端龍子、川村清雄、菊池契月、岸田劉生、小杉放菴(未醒)、小山正太郎、澤部清五郎、下村観山、杉山寧、高橋由一、�盪鈎ね此�田村宗立、堂本尚郎、冨田渓仙、橋本雅邦、東山魁夷、菱田春草、藤田嗣治(レオナール・フジタ)、松岡映丘、三瀬夏之介、山本丘人、横山大観、天野喜孝、荒井経、蔡國強、杉本博司、春原直人、谷保玲奈、永沢碧衣、野口哲哉、長谷川幾与、半澤友美、久松知子、深堀隆介、マコトフジムラ、山本太郎、山本基、吉澤舞子、李禹煥。
●日英併記(一部)
<目次>
プロローグ:日本画の誕生
第1章:明治・大正期の日本画
第2章:日本画の革新
第3章:戦後日本画のマティエール
第4章:日本の絵画の未来 -日本画を超えて
論文
「戦後日本画の周辺―杉山寧と『新古典主義』」/荒井経
「あらためて問う、「日本画」とは何か?」/内呂博之
企画/ポーラ美術館
編集/内呂博之(ポーラ美術館学芸員)、岩��余帆子(ポーラ美術館学芸課長)
著/荒井経(東京藝術大学大学院教授)、内呂博之(ポーラ美術館学芸員)
A4変型 並製本 240頁(図版152点)
【展覧会情報】
「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画 横山大観、杉山寧から現代の作家まで」
会場:ポーラ美術館 ≫
会期:2023年7月15日(土)〜2023年12月3日(日)
※本書は本展の公式図録兼書籍です。
|