圧倒的な構成と増殖的に描かれる精細な自画像で知られるアーティスト山本竜基の初画集。

自分が自分を相手に殴り合う様を何体も描いて「個人内戦争」とした作品など、おもに自画像を描き続けてきた山本竜基。
2015年のインドネシアでの滞在制作や新聞連載小説の挿画などを経験して、近年は家族以外の身の回りの人々や動物を描くことも増えてきた。
つい感情移入してしまうという気弱さと従順を象徴する柴犬たち。コロナ禍で閉じこもる人間を傍目に人が定めた境界を自由に越えてはどこでも気ままにゴロゴロする偉大な存在としての猫たち。平和と幸福感の象徴ともいえるモフモフの塊アンゴラウサギ。何を争っているかも誰と戦っているかも分からないまま揺れ動き、日々さまざまなエゴイズムを旗印に苦闘を続けるちっぽけな自分たちとは対照的に、これらの存在は揺るぎなく泰然と大きく描かれている。
《地獄図》や新作の《自画像合戦来迎図》など大きな作品の描き込みは凄まじく、数えきれないモチーフで埋め尽くされた画面は圧巻だ。自画像を描き続けたことで辿り着いた、おかしみに満ちた曼荼羅ともいえる山本の世界観は唯一無二。本書は、こうした山本の画家としての進化を辿ることができる初めての画集である。
巻末には、山本を評した小山ブリジット氏の論考だけでなく、作品が生み出された背景や描かれた意図などを山本自身が綴った作品解説も付いており、山本竜基を知るための入門書として充実の内容となっている。
●日英併記
著/山本竜基
B5判変型 並製本 128頁(図版206点)
【展覧会情報】
「山本竜基展」
会場:ミヅマアートギャラリー ≫
会期:2025年12月10日(水)〜2026年1月17日(土)
山本竜基 INSTAGRAM ≫
◆山本竜基(やまもとりゅうき)
現代アートのミヅマアートギャラリーで発表を続ける画家山本竜基。
05年第8回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞受賞。
11年よりポーラ美術振興財団の在外研修生として北京に滞在。
15年よりインドネシア、ジョグジャカルタでの滞在制作などを経て、現在は東京にて活動を続ける。




部分

部分

部分






|