2008年5月9日金曜日、小説家丸山健二さんと読者10名の方々をお招きし、記念すべき第1回ドラゴン・アート・クラブを小社会議室にて開催いたしました。
当日の会場は、世界的な照明デザイナー藤本晴美さんプロデュースによる、幻想的で柔らかな明かりで日頃の殺風景な会議室が一変し、参加者の皆さんを心地よい緊張感と期待感に包みながら、静かに始まりの時を待っていました。
そして6時、大きな拍手と共に白いジャケット姿の丸山健二さんが登場。
今回は、再生復活版8冊目となる『さすらう雨のかかし』の刊行記念トークショーと銘打っておりましたが、「皆さんとの会話を大事にしたい」という丸山さんのご希望により、参加者の方に予めご用意いただいた質問(それは文学にとどまらず芸術や映画、音楽、趣味など多岐に渡るものでした)を、丸山さん自らが一つずつ読み上げ、それを丁寧かつ、時にはユーモアを交えながら答えていくという形で進行されました。最初はぎこちなかった雰囲気も次第に緊張がほぐれてゆき、時折どっと笑いも起こる中、参加者の方からも積極的に発言が飛び交いはじめ、小さな会議室は徐々に、熱気と笑顔に包まれたものとなっていきました。
90分という時間はあっという間でしたが、第1回目にふさわしい、記憶に深く刻まれる会であったと思います。


 初めての試みにも関わらず、快くご参加くださった丸山健二さんからは次のような感想をいただいております。
「これまで自分にとって、読者とはどこか幻のような存在であり、サイン会やトークショーなどでやっと半分現実の姿となって見えていたように思う。ところが、今回10名の読者と語り合ったことで、幻が一気に現実の形となって現れたと実感した。こういった人達が読んでくれていたのだということが、生々しく伝わってきた。現実の重さに圧倒された。
創作に対していい加減に取り組んできたことはないが、改めて気持ちが引き締まる思い だった。今回のセッションはトークショーと違い、読者と突っ込んだ話ができ、小さなライブハウスで演奏するような楽しさがあった。そしてその臨場感に驚いた。
すでに次の作品の執筆に入っているが、そのためのバネが確かに補強された。」
この会を出発点として、ドラゴン・アート・クラブは回を重ねる事に進化していきます。末永く応援下さいますようお願いいたします。

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