Q 求龍堂と石内さんとの最初のお仕事が、『薔薇のパルファム』という本でしたね。ビックリしちゃった。「バラ?」って(笑)。
 私はほんとに、写真家が花を撮ったら終わりだと思っていたの。でも、バラと聞いてちょっと興味を持ったのね。バラだけということで、単なる花ということではなかったから。私はバラの花がすごく好きな時期があって、あんまり好きで飽きちゃったの。もうバラは要らないと思って、別の花が大好きになって、ほとんどバラを買うことはなかったのね。それで、「そうか、バラを撮るのか」と思ったときに、やってみようという気になりました。バラは花のなかの王女様というか、ベストな花ですよね。そして、人間に一番近いところにある花だから。私は、バラ園というところに初めて行ったでしょう、あちこち。結局、地面から生えているバラ、私たちが普通基本的に思うのは切り花ですよね。切り花しか手に入らないわけ。地面から生えている花をあれだけいっぱい見たというのが、すごくよかったです。バラというのは、結局、頭に性器があるわけ。バラだけでなく、花はみんなそうですが、不思議なものだなと思いました。幹がこうあって、葉っぱがすごく生き生きしていて、あれもすごく発見でしたね。

Q 展覧会「永遠なる薔薇」の展覧会に合わせて資生堂が発表した香水ですね。
 私は香水はつけませんけど、バラだけは悪くないなと思って……。資生堂の「永遠なる薔薇」はすごく面白かったですね。確かに、先ほど言ったように、花を撮ったら終わりだなとは言ったけれども、薔薇を撮って、いま体の傷を撮っているのと同じような感覚で撮れたという気がしました。枯れた花を撮るということよりも、ある種、彼女たち、薔薇たちが持っている歴史観とか、ディテールとか、彼女たちは枯れたわけじゃないんですよ。次の世代に循環していくわけだから。そういう意味ではインフィニティ。

Q 「永遠なる薔薇」のカタログの石内さんの文章のなかで「デスフラワー、ライフフラワー」というのがありましたね。
 いわゆる切り花というのは「生花」と書くんですね。すごく不思議ですよね。英語で言うと「デスフラワー」、死んだ花なんですよ、本当は。でも日本語だと「生きている花」と書く。それを知ったときに、「ああ、こうなんだ」と思って、すごく納得しました。花に関して。ですから、私は根がついているものしか撮っていません。いままでは、切り花が「生花」と日本では言うから、何かすごく不思議な感じがあって。あれは、英語で言うと「死んだ花」で、生きている花はライフフラワーと言うわけです。その辺を知ったときに、私は目から鱗だったの。花に対する考え方が少し変わりましたね。

 内容より
≫ 個人的なこと
≫ 薔薇の写真について
≫ 写真表現について

≫ 「身体のゆくえ∞インフィニティー」について



第5回レポートトップ ≫
トップへ ≫